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「移住」に必要な3つのこと

今日は、少しまじめな話をしようと思います。

東日本大震災からもうすぐ2年。
この間、時間を巻き戻すことができればどんなにいいだろう、と何度思ったかしれません。

しかし、残念ながら「震災後」という名のパラレルワールドに入り込んでしまった私たちは、「震災前」とはまったく別の世界を生きなくてはならなくなってしまいました。

震災前と何も変わらないように生きている人が大勢いるけれど、まわりの様子をうかがいつつ、そう装っているだけ。
他に生きる方法が見つけられないだけ。
そうじゃないですか?

それともパラレルワールドを生きているのは、私のようなガマンとストレスが極端に苦手で、早々に飛び出してしまった変わり者だけなのでしょうか?
「震災前」の世界は、私の知らないところでつづいていて、多くの人はいまだそこの住民なのでしょうか?
 
 
しかしながら、普通に生活を送りつつも「できることなら移住したい」と考えている人は、実際のところかなりたくさんいるようです。
移住希望地は、海外、国内を問いません。
個人的に相談を受けただけでも、相当な数に上ります。
けれど、実際に移住した人、あるいは実行しようとしている人は……というと、本当に数えるほどしかいないんですよね。

実は昨日、長い付き合いになる大切な友人から、家族の問題などを理由に「移住をあきらめた」という連絡を受けました。
移住の下見のため、マレーシアに渡航する直前でした。

彼女には彼女なりの理由があり、考え抜いたうえでの結論なのでしょう。
とても残念だけど、私には何もしてあげることができません。

彼女からメールをもらったあと、ずーっと考えていました。
彼女の本当の望みが移住することだったとしたら、どうして移住できた人と、望んでも実現できない人がいるんだろう?
その差はいったい何なのか?
 
 
 
ひとつは、プライオリティの問題なのだろうと思います。

移住した人は、プライオリティがはっきりしていた。
他方、移住したくても実現できていない人は、プライオリティが状況に合わせてゆらぎがち。
私には、そんなふうに思えるのです。

もちろん、明確なプライオリティのもと、「このまま残る」という選択をしている人たちもいます。
それはそれで大ありだと思います。

私も、子どもがなかったら今もまだ東京にいたかもしれないなあ……と思うことがあります。
でも、私の中で「ストレスなく自由に暮らす」「(何の心配もせずに)おいしく食べたり飲んだりする」というのは、かなり優先順位が高いので、早晩移住していたかもしれません。

そう、わが家の場合、最優先事項は「子ども」でした。
仕事よりも、社員よりも、ステキな仲間たちに囲まれた刺激的で楽しい東京暮らしよりも、優先すべきことだったのです。

千葉から徳島へふたりの子どもを連れて移住してきたとあるご夫婦が、移住を決断した経緯についてこんなふうに話してくれたことがありました。
毎晩夫婦で話し合って、「健康の心配をして暮らすくらいなら、お金の心配をして暮らそう」という結論になった、と。
(彼らは、もともと徳島に縁もゆかりもない人たちでした!)
つまり、彼らにとってトップ・プライオリティは、「家族の健康」だったわけですね。
 
 
しかし、何かを優先するということは、同時に何かを切り捨てることでもあります。
私の場合は、仕事や仲間と楽しみながら進めていた複数のプロジェクト、東京での暮らしなどでした。
すべて中途半端な状態で放り出したのですから、大勢の人に迷惑をかけました。
スタッフ、取引先、仲間たち……挙げたらきりがありません。

仕事も一時期に比べると随分減ったし、スタッフにも一度は去られたし(今はまた一緒に仕事してます♪)、取引先にも仲間たちにもどれだけ頭を下げたかしれません。

でも、その結果、失ったものは?

想像していたより、恐れていたより、多くはないという印象です。
ひょっとすると、得たもののほうが多いかもしれない。

家族で過ごす時間、本を読む時間、心から本音を言い合える友だち、本当に大切にしたいクライアント、新しい環境での刺激的な毎日……。
みんなもっているものを捨てることを恐れがちだけれど、捨てた分、余地が生まれて、また新たに入ってくるものがあるということですね。
捨てたら捨てっぱなしということではないんです。

いやもちろん、つらいこともいろいろありますよ。
特に日本に残してきた両親や祖母、兄弟のことは、いつも心配しながら、祈りながら、暮らしています。
でも、マレーシアにやってきたことは、少しも後悔していません。
 
 
移住を実現した人としていない人のふたつ目の違い、それは「期限」を決めたか、決めていないかということ。

どんな人も生まれた瞬間から、いえ、お母さんのおなかに宿った瞬間から、死へ向かって一直線に走っています。
でも、そのことを普段から意識せずに生きている人が多すぎるなあ、もったいないなあという気がしています。

たとえば私、自分の命が有限であることもそうですが、同時にそれはふたりの息子たちに永遠に会えなくなることでもあることを、結構意識して生きているつもりです。

終わりがあることを知っていると、今を大切にできるものです。
だから、この世でいちばん大切な彼らのことを、いちばんに考えて生きていきたい。
今、私にできる最大のことをしたいって思うんです。
その結果が、マレーシア移住でした。

期限とか〆切というと、なんだか窮屈でイヤなイメージを抱く人が多いんですが、私は結構好きです(Mじゃないですよ〜!)。
〆切のおかげで仕事が進むし、どんな大変な仕事も必ず終わるから。
(元来怠け者の私、〆切がなかったらチンタラ仕事をしてしまい、いつまでたっても終わらないと思います♪ 〆切が必ずある仕事でよかった!)

それに、何か新しいことをはじめるには、とてつもなく大きなエネルギーが必要です。
あまりに負荷がかかるので、何かと理由をつけて後回しにしてしまうことも。

だからこそ期限を決めることは、とても大切です。
でないと時間ばかり浪費して、いつまでたっても欲しい結果を手にできないことになるからです。
 
終わりを意識しながら生きるのは、つらいし、怖いこと?

いいえ。
必ずやってくるものなのだから、不必要に怖がることは意味がありません。
むしろ、終わると思わずに暮らしていて、ある日突然、何の前触れもなく終わりが来てしまうことのほうが、私にはよっぽどつらいし、怖いです。
 
 
最後にもうひとつ、移住を実現させ、かつ新しい生活を心から楽しむために、とても大切なことがあります。

それは、「ヴィジョン」。

「トップ・プライオリティ」と「期限」、これだけあれば移住することもできると思います。
でも、移住先に知り合いもいない、先も見えない暮らしに疲れて、結局、元いた場所に戻っていく話も、ときどき耳にします。
せっかくアクションを起こしたのに、そんな残念なことになってしまうのは、「ヴィジョン」をもっていなかったからでしょう。

けれど、「自分はどんなふうに生きたいか」「人や社会にどう貢献したいか」、そのヴィジョンさえあれば、外国でもどこででもやっていけると、今は確信しています。
ヴィジョンは、新しいことをするために必要なエネルギー「ワクワク」を供給する源になるからです。
 
 

今、移住を考えている人、これから実行しようとしている人は、ぜひこの3点をもう一度意識してみてくださいね。

◎あなたの「トップ・プライオリティ」は何ですか?

◎実行する「期限」はいつですか?

◎あなたの「ヴィジョン」は何ですか?
 
 
 
移住に限らず、どんなことを実現するにも、結構有効な要素だと思いますよ!

 
 
PS.
移住できた人とできていない人の違いに、「お金」のあるなしを挙げる人がいるかもしれません。
でも、「トップ・プライオリティ」がお金である間は、移住は難しいと考えたほうがいいということです。

移住にある程度のお金が必要なことは事実です。
移住先でも、収入を確保しなくてはいけませんし。

確かにお金はあるにこしたことはありませんが、たくさん持っていなくても実行できるのではないか、というのが、自分を含め、まわりの移住者を見てきての感想です。
(※2013年10月16日追記:お金の有無の感覚は個人差があるため、誤解を招く恐れがあり、削除させていただきました。)
 

特に国内移住の場合は、引っ越し代+αでできてしまいます。
国外移住については、みんなそれぞれにお金のかからない工夫をしているようです。
飛行機の手荷物だけで来たっていう人も、なかにはいますからね。

国外移住の場合は、英語や仕事はどうするかって?
確かにある程度の語学力は、要求されます。
でも、問題は語学力のあるなしではないように思います。
仕事については、成長著しいアジアの場合、いい人材は常に求められている印象です。

実際に移住を実現させた人がどんなふうに乗り越えてきたか、これについては追って書いていこうと思います。