高田リョウさんは、以前エプソムに入って1年目に、ワクワク海外移住のインタビューに登場。エプソムでの日々を「怒涛のようです。ヤバい学校です」と表現しつつ、多国籍な仲間との交流や趣味のプログラミングについてイキイキと話してくれました。
日本の一般的な中学生とはあまりに異なるリョウさんのエプソムでの寮生活は、当時、別メディアでも取り上げられたほどでした。
Aレベル(高等過程)に進級し、生活も環境もガラリと変わった
入学してすぐ、テンションの高い仲間たちの中で目立つために髪型を変え、性格も明るくしようと努力していたリョウさん。2年経ち、すっかり大人っぽく落ち着いた風情になっていました。
現在16歳。昨年イギリス式の中等部終了試験であるIGCSEが終わり、現在は高等課程(Aレベル)のYear12で物理、コンピュータサイエンス・数学を学んでいます。
以前は目立たせていた髪型も、大人しくなっていました。理由を聞くと、「日本の祖母に髪型を注意されてしまいまして。それに、今は日本人が少ないので、無理に目立とうとする必要がなくなりました」と笑います。
Aレベル課程に入り、受ける科目が3科目に減ったので自由な時間が増えました。「おかげで友だちと関わる時間が増えて楽しいです」
いつも一緒にいるのはイラン人とアラブ人で、日本人とはほとんど関わっていません。相変わらず落ち着いた話ぶりで、相手としっかり話すコミュニケーション力の高さが印象的です。
「自由時間には友だちとマリオカートをやったり、室内スポーツをしたりして遊んでますよ。クラブ活動は週に5種類に減り、今ではバドミントンや卓球などをやっています。またプログラミングをしたり、英語の単語を覚えたりしています。英語はまだまだ勉強が必要ですね。コンピュータ・サイエンスではまだわからない単語が多いんです」と話します。
毎週行われる親身な進路相談
2年前に取材したときも、リョウさんはプログラミングを独学で学んでいました。現在は主にPython(プログラミング言語)でコーディングをしつつ、ディープ・ラーニングについての論文を書いているそう。
Youtubeでも、理論物理学者スティーブン・ホーキングや起業家イーロン・マスクの動画を見ることが増えました。将来はカナダの大学でディープ・ラーニングを学びたいと考えています。
イギリス式過程で学ぶリョウさんの場合、入学の選択肢となる学校は世界中に存在するため、進路も多種多様です。また、欧米の学校の入学への道は複雑で、日本のように決まった進路があるわけではありません。エプソムカレッジでは「Higher Education Department」と呼ばれる部門の専任の先生がきめ細かく指導してくれます。
「目標としている大学に入るには、すべての教科でA以上、さらにTOEFLで700-800点程度を上げなければいけません」
リョウくんの場合、毎週月曜日のCCA(クラブ活動)は、進路相談の時間となります。どういった教育機関があり、そこに進学するには何が必要なのか、細かく相談にのってくれるそうです。
日本にいたら「いじめられていたかもしれない」
エプソムに来ていちばん変わったことはなんでしょうか。
「日本にいたら? いじめられてたんじゃないですかね。僕は元がシャイなんで友達が作れてなかったと思いますし、恥ずかしがり屋がこの学校に来て相当改善されてきたと思います」
どうやって性格が変わったのでしょうか。
「社交的になりました。エプソムでは学校側がいろいろ工夫します。例えばハウスマスターは、できるだけ同じパスポートの人を同じ部屋にしないようしたり、出かけるときのグループも同じメンバーで固まらないように工夫します。するといろいろな人と付き合わないとならないのです。おかげでシャイな性格が改善されたと思いますね」と話します。
ズバリ、エプソムに来てよかったですか? と聞いてみました。
「よかったと思います。日本の学校にいたら、何かをなくしていたと思います。何か? とは何か? やはりコミュニケーション能力かな……」
今、日本を見ていて感じることはありますか。
「日本から見る世界と、ここから見る世界はズレているな、と。例えば、先日騒ぎになった米国のユーチューバーのローガン・ポールは、こちらでは大変有名なので大きな話題になりましたが、日本ではそんなに報道されていませんね。
一方で尖閣諸島の問題とか、日本のテレビは強調して伝えます。ここには中国・韓国をはじめ世界中の友人がいますから、そういった友人と直接話していると、情報の違いを感じます。エプソムでいろんな国の人と会って視野が広くなったと思いますよ」
「ここには日本にはいないタイプの人がたくさんいておもしろいです。それにいろんなスポーツができるので、スポーツが好きな人にはオススメですよ」と締めくくってくれました。