インターナショナルスクール@KLの「松竹梅」と学校選びのチェックポイント

本題に入る前に“大前提”のお話をさせていただくと、日本人はとかくあらゆるものやサービスについて“安くていいもの”“お買い得なもの”を期待しがちですが、ここ東南アジアではそのようなものは存在しません!(キッパリ)

たとえば家電。
日本よりかなり安めですが、お値段だけのことはあり、機能はシンプルでつくりも安っぽいうえ、よく壊れます(´Д`)
日本のメーカーのものでも、日本よりかなり安い値段で売っていたりするのですが、その分グレードは低いです。
(それでも日本製品に対する信頼は、絶大なものがありますが!)
ちなみに日本と同等のグレードのものは、マレーシアのほうが高く、日本のほうが安い傾向があります。

MUJIもユニクロも、日本では“安くていいもの”かもしれませんが、東南アジアではどちらも高級品の部類です……。
実際、日本より高い値段で売ってますしね!

 
これらをふまえて、インターナショナルスクールの学費と質の相関関を考えてみると……もうおわかりですよね?

学費の安い学校は、安いなりである(´Д`)

「そんな〜身もふたもない〜(´Д`)」と思うかもしれませんが、クアラルンプールのあちこちの学校を見てきたデイジーの今のところの見解です。
※上記はKL限定です。

インターナショナルスクールの学費は、下は年間40万円台〜上は300万円まで、ものすご〜く格差があります。
で、多くの日本人がイメージしているインターナショナルスクール像というのは、恐らく150万円以上の松クラスではないかと……。

松クラスのインターの特徴をざざっと挙げてみました。
◆先生はほとんど英語ネイティブ(なかには先生がほぼ100%イギリス人という学校も。外国からわざわざ先生を連れてくるから学費が高いんですねー)
◆ローカル生徒より外国籍の生徒のほうが多い(白人率も高い)
◆学校の設備が整っている。(パソコンはMac、電子ホワイトボード、iPadを使用。図書館が広くて蔵書がたくさんある、などなど……)

これに対して、竹〜梅クラスのインターの特徴は……
◆英語ネイティブの先生はいないか、いてもかなり少数派。
◆生徒のローカル率60%以上。なかにはインターナショナルスクールといいつつ、中国系90%以上、インド系90%以上なんて学校もあります……。
◆設備は当然のことながら、150万円以上の学校と比べると見劣りします。

 
ここは東南アジアなので、人種ミックスは当たり前だし、英語はツールとして使いこなせればいいのであって、何もネイティブの発音を求めなくても、という考え方もあります。
せっかく高い学費を払っても、白人率が高すぎると、マイノリティの日本人が差別にあう可能性もありますしね(´Д`)

ただし、以前「海外で暮らすとバイリンガルになれる!?」の記事でも書きましたが、マレーシアでは「英語の発音がきれい&学歴が高い=親が金持ち」という図式がリアルに成り立っています。
そしてそれはそのまま、その子の将来の所得に直結していきます。

そのことを知らずに単に「マレーシアは教育費が安い」という情報だけで来てしまうと、先生も生徒もローカルだらけ、マングリッシュ(マレーシアなまりの英語)で「こんなはずではなかった……」ということになりかねません。
ただし、「予算が少ない」「英語ができない」場合、クアラルンプールではほとんど選択肢がないというのが現状だったりします……詳しくは、過去記事「英語力ゼロでも入れる、KLのインターナショナルスクールは!?」を参照してください。

 
しかしながら、学費が安いインターのいちばんの問題点は、先生や生徒の人種や英語の発音や設備の善し悪しにあるのではなく、「教師の給料が安いこと」にあるのではないか、とデイジーは思ってます。

これは教師に限らず、マレーシアのすべての労働者に共通していえることですが、給料以上の仕事はまずしないんですよね……(´Д`)
むしろ端から見ていると、どれだけ手を抜くかに命をかけているようさえ見えます(;^_^A

たとえば身近なところでいうと、わが家の通いのクリーナーの掃除の仕方もひどいです( ̄▽ ̄)
でも、安い賃金で働いてもらっているので、こんなもの、と割り切ってます。
給料以上のことを求めたせいで逆恨みされて、モノがなくなったりしてもバカらしいですからね。
あ、でも、いてくれてとても助かってるんですよ!!
性格的には、とっても愛すべきオバちゃんだと思いますし!

とまあこのように、こちらの人たち、日本のように安月給で時間外労働もいとわず、自分が壊れるまで働くなんてことは絶対にありません!
それは、教師も同様です。

教師の待遇がよくない学校では、目に力がなく、表情も乏しい先生が散見されます(もちろんいい先生もいますが!)。
日本の先生たちみたいに「人間教育」という意識はほとんどなく、恐怖政治を敷いて生徒たちをコントロールしようとする先生や、ただ教えるだけで生徒たちの理解度はまったく無視の先生も。
先生同士で生徒についての情報共有もほとんどなされていないようです。

逆に教師の待遇が厚いことがわかる学校では、先生たちの顔が明るく、目が輝いていますし、先生たち同士で熱心に情報共有している風景を目にすることも(もちろんなかにはイマイチの先生もいると思いますが……)。

マレーシアに限らず世界的に、「教育」とは「産業であり、商売である」という見方が恐らく標準で、「聖域であり、教師は生徒に人生を捧げなくてはならない」的な考えは、日本だけのようです。
そう考えると、ちょっと前に論争になった「先生が自分の教え子の入学式を欠席して、自分の子どもの入学式に出ていこと」を批判するのはいかにも日本的な発想で、世界的には何ら問題にされることではないんですよね……。

 
「じゃあ、学費の高い、教師の待遇が厚い学校ならいいのね?」って思いますよね?
実はそういうわけでもないのが、マレーシアのすごいところだったりします……(´Д`)

学費の安い学校は、安いなりである(´Д`)
でも、学費の高い学校がいい学校とは限らない(´Д`)

という感じでしょうか??

たとえば、学費が松クラスでもこんな話を聞きます……
◆先生はほぼ全員イギリス人。でも、採用しているのが経験のない新卒の先生ばかりで、すぐに辞めて次の学校に行ってしまうとか(´Д`)
◆お金持ちの子息が多いと、クスリなどよからぬことを覚えてくるとか(´Д`)
◆教えている教科(特に算数)のレベルは日本よりかなり低いとか(´Д`)
◆裕福なチャイニーズが多くて、親の見栄の張り合いが激しいとか(´Д`)
◆生徒が先生をバカにしているとか(´Д`)

ですから、学費が高いから安心ということはまったくなくて、ご自身で足を運んでアドミッションスタッフだけでなく、校長先生や担任の先生と話したり、実際にお子さんを通わせている方から話を聞いて、本当に子どもを通わせたい学校か、そして子どもに合う学校か、判断する必要があります。

もちろん、なかには「学費が高いだけのことはある!」という名門校もありますよ!
その代わりめちゃくちゃ高いですけどね!(苦笑)
個人的には名門校まで張り込まなくても、年間100万〜180万円くらい覚悟すると、「なかなかいいかも」と思える学校が増えてくるかなーという印象です。

たとえば、学費100万円前後だと、ローカルの間で人気の“ローカルインター”が選択肢に上がってきます。
ただし、結構がっつりお勉強系の学校が多いため、すでに英語ができて、しかも勉強が得意な子にしかオススメしていませんが……。

竹クラスのローカルインターの特徴は……
◆先生も生徒もローカル比率は高め
◆留学生は韓国、中国、インドネシアなどアジア系中心で、欧米人は少なめ
◆勉強の進みがものすごく早い!(1学年先取りしている学校も!)そして、宿題がめちゃくちゃ多い!
◆進学実績がある学校が多い
◆英語力のない生徒は門前払い(よって日本人はほとんどいません)

 
実は学費100万円前後のインターには、新設校もいくつかあるんですが、こちらは逆にあまりオススメしていません……。
英語ネイティブの先生を迎えていたり、施設がきれいで立派だったり、生徒を集めるために割と英語の敷居を下げていたりと、聞こえのいいことばかりしているんですけど、実体がともなう保障がどこにもないからです。

学校の運営自体が迷走して、先生や生徒に悪影響がある可能性が多いにあるうえ、先生たちも経験のある人ばかり集めているとは限りません。
新設校は、最低でも開校して3年程度は様子を見た方がいいと思います。
(余談ですが、「マレーシアでは新築物件に住んではいけない。トラブルがひと段落し、補修が終わった3年以降の物件に住め」といわれているのとちょっと似てますネ!)
 

とはいえ、万全を期して学校選びをしても、先生によって当たりはずれはあるし、まったく問題のない学校はありません(日本だってそうですよね)。
そのところを理解したうえで、「子どもの教育には親が責任をもつ」という姿勢がマレーシアにおいては大切なのではないかと……。

ちなみにわが家の子どもたちが9月から通いはじめるのは、「竹クラス」のインター。
フタを開けてみるまではホントのところはわからないので、ドキドキです(〃ω〃)

どこの国のどこの学校に通っても、日本の子どもたちにはどんな荒波にも負けず、世界を明るくたくましく渡っていく大人に育っていってもらいたいですね!
そのために親が乗り越えるべき課題は決して小さくありませんが、一緒にがんばりましょー!!
しかし、かかるなあ……教育費……(´Д`)

 
最後に、学校見学の際のデイジーなりのチェックポイントをご紹介しておきます。
学費のランクにかかわらず、学校の善し悪しを判断するときの参考にしてみてくださいね。

1)生徒たちの顔はイキイキとしていますか?
→みんな楽しそうに授業を受けていますか? 休み時間は楽しそうに遊んでいますか? 目はイキイキしていますか?

2)先生たちの表情はどうですか?
→ぜひ校長先生やお子さんの学年担当の先生とお話ししてみましょう! アポイントを申し込むと、応じてもらえますよ!

3)校内の掃除は行き届いていますか? トイレはきれいですか?
→日本のように掃除は生徒が行いません。クリーナーが担当しますが、学校経営がずさんだと、掃除が行き届いていないいことが多いです。逆に校舎が古くても清潔な学校は、きちんと運営されている確率が高いです。

4)図書室は充実していますか?
→学費が高いインターの場合は、図書が充実しているのはある意味当然なんですが、学費の手頃なインターの場合は使える予算に限りがありますから、図書室をチェックすると学校の方針が見えます。
学費がそこそこ安くても、蔵書の揃った居心地のいい図書館があり、子どもたちが本を読む楽しさや探究する楽しさを身につけてほしいという思いが伝わってくる学校もありますよ!(その真逆のパターンもありますがね……)

 
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日本人ゼロのとある梅クラスインター。
図書室の環境はなかなかなんですが……
 

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蔵書はもっとがんばれ。
あと、本の扱いはていねいにね。
こんなところにも、学校って見えるものだったりします。
 

※記事にはかなり個人的見解が含まれています(まあ、いつものことですが……)。
ですので、くれぐれも鵜呑みにしないでくださいね!