1855年に創立されたイギリス屈指の名門校「エプソムカレッジ」の英国本校は、入学まで2年以上ウェイティングしなければならないほど人気。その正式な分校として、2014年9月にクアラルンプール郊外に開校した「エプソムカレッジ・マレーシア」では、英国本校と同じ教育が、日本から比較的距離が近く、学費も手頃なマレーシアで受けられるとあって、アジアを中心に世界25カ国から留学生が学びに来ています。「エプソムカレッジ・マレーシア」の日本人留学生2名と、彼らの教師であり、時に親代わりでもある所属寮の先生2名にお話をうかがいました。


最終回
2019/04/05

生徒が困難に向き合ったとき、自分で解決していく力を全力でサポートするエプソムのハウスシステム

取材・文/遠藤チサト(マレーシア在住ライター)

エプソムカレッジ・マレーシアで、水泳やアスレチックを中心としたスポーツを専門とし、同時に男子学生寮の1つである「プロパートハウス」のハウスマスター(責任者)を務めるイアン・スクワイヤー先生。

英国出身で、本国で5年の教員経験を経たあと、2003年にバンコクのインターナショナルスクールでYear 7~8の責任者として活躍。11年間勤務したのちに、2014年のエプソムの開校に合わせて家族で来馬しました。

ケンブリッジ式カリキュラムで非常に重要な、キー・ステージ3(Year7-9)のコーディネーターも兼務しています。

イアン・スクワイヤー先生

専門は体育で、男子学生寮のプロパートハウスの責任者でもあるイアン・スクワイヤー先生。24時間教師やスタッフが一緒に寮生活をしているので、生徒たちをフルでサポートをできることがエプソムの特徴だという。

ーースクワイヤー先生が感じているエプソムの魅力は、どんなところにありますか?

「まずはボーディング・スクールの仕組みにあると思います。ボーディングを取り入れているインターナショナルスクールはいくつもありますが、その多くはデイボーディング生(通学生)で、学校が終わったあとは生徒たちは自分の家に帰ります。

エプソムではフルボーディングといって、世界中から集まった子どもたちが完全な寮生活を一緒に送っています。その数はおよそ300人にもなり、ここに大きな違いがあります」

エプソムにやってきた留学生たちは、常に仲間に囲まれ、面倒を見てくれる先生やスタッフともにひとつ屋根の下に暮らします。自分自身がそのコミュニティの一員となり、英語で日常生活を送ることになるのも、日本での生活とは大きく異なる変化です。

「寮生活では授業や課外活動のほか、メンタルケアまでもが24時間体制でサポートがされています。そういった生活のなかで徐々に生徒たちの性格が形成され、自信が生まれ、言語を学びながら他文化を理解する力などが培われていきます」

ーープロパートハウスを統括するハウスマスターとして、生徒たちの悩みにどう対応していますか?

「日々起こるチャレンジに、生徒たちがどのように立ち向かっていくかを教えるのも、大切な教育の一環だと思っています。さまざまなできごとに失望したり、挫折を味わったりすることは必然です。しかし、この時期に守られた環境だけで過ごしてしまうと、大学や社会に出て問題が起きたとき、自分で対処することがより難しくなってしまうことがあります」

どんなに学業の成績がいい生徒でも、悩みはあります、とスクワイヤー先生。寮生活での人間関係や勉強、教師やスタッフと意見が合わないなど……。

「そういったとき、ここではコミュニティやカウンセラー、私のようなハウスマスター、寮の学生リーダーなど、相談できる人が身近にいて相談に乗ります。生徒を常にサポートする体制が整っているのです。子どもたちは大きく強く成長し、次のステップへ向かうことができます」

エプソムでは、寮生活で起こりうる問題に対して、しっかりとした対策を取っているそう。例えば、生徒たちがはじめに受けるのは、英国式のPSHE(Personal, Social and Health Education)といって、日本でいう保健と道徳を組み合わせたような授業。たばこやアルコール、体や男女の問題、携帯やパソコンなどのデバイスの使い方、暴力やいじめ、人種や性差別問題などを取り上げ、心身の健全な保ち方を教えるそうです。

さらにエプソムには、いじめ対策、ジョーク対策、ふるまいに関する対策など、しっかりと確立されたフレームワークがあり、両親にもそれらの対策やルールを理解してもらっているそう。

ーー日本からの留学生たちについては、先生の目にはどう映っていますか?

「彼らはとてもすばらしい生徒たちです。礼儀正しく、集中力があり、 自分のすべきことをしっかりこなし、時間を厳守します。こういった良い面は維持しながら、積極的に質問する、自由な発想でものごとを考えてみる、自分の意見を口に出してみる、特に語学を学ぶ際には失敗を怖がらず学んでいく、といったスキルを磨いていくことが大切です」

先生たちは、日々生徒たちに間違ってもいいということをくり返し教えていくのだそう。生徒たちの国籍によって、性格に違いがあるのか尋ねてみると、こんな答えが返ってきました。

「おとなしい子どもが多いと思われがちな日本人でも、大きい声で質問をよくする生徒もいれば、ハッキリとものを言う子どもが多いマレーシア人のなかにも、もの静かな生徒もいます。確かに国籍によって多少の傾向はありますが、今まで育ってきた学校や環境の影響が大きいので、エプソムでは国籍にとらわれず、もっと個人に焦点を当てています」

ーー寮にはさまざまな国の学生がいます。相互理解のためにどういった取り組みをしていますか。

「多くの国から学生が来ているので、私たち教師もさまざまな国の文化の違いを理解しています。そのうえで、生徒たちが他の文化や考え方も理解し深められるように、それぞれの国の行事をみんなで一緒に祝います。例えば旧正月、韓国のお正月やクリスマスなどです。その背景には、国や人種などのあらゆる違いすべてに価値があることを理解することこそが大切だという考えがあります」

ーースクワイヤー先生の寮には、第3回のインタビューに登場してくれたヒロシくんがいますが、エプソムに入った直後と今の彼の変化を教えていだけますか?

「ヒロシは最初はシャイで静かな青年でしたが、『日本人が少ない寮に入りたい』と、自ら望んでプロパートハウスに入ってきました。大変勇気のある行動です。人は誰でも自信をつけるのには多少時間はかかります。ヒロシは今ももの静かなタイプではありますが、音楽活動に力を入れていて、それが彼の自信につながってきていると思います。多くの教科で優秀な成績を修めており、学校生活をとても楽しんでいますよ」

寮で集団生活を経験する間にさまざまな経験することで、日本人としてのすばらしいキャラクターを保ちながらも、インターナショナルな考え方を持ち、自信を持ってイエス、ノーと言える人間に育っていくのだとか。熱心で質の高い先生たちからサポートを受け、エプソムで寮生活を送っている留学生たちの活躍が、これからもますます楽しみです。

イアン・スクワイヤー先生

男子生徒たちの間では、叱るときはすごい迫力で怖いと評判!? のスクワイヤー先生。しかし、その視線はやさしく温かです。エプソムの学生寮では、しっかりと確立されたフレームワークのなかで生徒たちを守りながら、心も身体も楽しく鍛えられるように工夫を凝らしているそう。



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