160年以上の伝統を誇る英国の名門校「エプソムカレッジ」。その初めての海外分校として、2014年9月にクアラルンプール郊外に開校した「エプソムカレッジ・マレーシア」は、英国本校の卒業生であるエアアジアのCEOトニー・フェルナンデスが「自分の価値観や人生観を形成した学校」として、自国マレーシアに誘致したことでも知られています。 オールラウンドな人材を育む「全方向教育」を掲げるエプソムの魅力について、ジョン・ケンナード新校長をはじめとする先生や職員、生徒たちに話を聞きました。


最終回
2018/03/28

唯一の日本人スタッフに聞きました。
一人ひとりの個性を大事にするエプソムカレッジの教育とは?

取材・文/野本響子(マレーシア在住ジャーナリスト)

実は、昨年9月からエプソムカレッジに唯一の日本人リエゾン・オフィサーとして高宮雅子さんが勤務し始めました。日本からの入学希望の問い合わせや案内・紹介、日本人保護者との連絡などを担当しています。また、母国語の時間には日本語学習をサポートしています。

エプソムカレッジの日本人リエゾン・オフィサー高宮雅子さん

エプソムカレッジで唯一の日本人リエゾン・オフィサーである高宮雅子さん。その業務は、日本人案内業務から生徒や保護者サポート、アシスタントハウスミストレス、そしてなんとヨガクラスの先生まで多岐に渡ります。

もともと高宮さんは、2014年に子供をエプソムに入学させた保護者のひとりでした。たまたまアラブ首長国連邦(UAE)からマレーシアに来ることになり、偶然この学校が自宅からいちばん近かったというのが大きな理由で入ったのだそう。

エプソムカレッジというブランドに決めて来られる方が多いなかではちょっと異色です。双子のお子さんは今もエプソムカレッジに通っています。

ーー保護者として見たときに、UAEのインターナショナルスクールとエプソムカレッジはどこが違いましたか?

「UAEのインターナショナルスクールは大規模な学校でした。エプソムは1クラスの人数が少ないうえ、とにかく先生方が熱心で、一人ひとりの能力をよく見ているのに感心しました。キメ細かく対応するので、贅沢な学校だなと。

先生だけでなく、シニアやギャップイヤー(卒業後、大学入学までの期間)の学生たちが子どもたちの面倒を見てくれる。お兄さん、お姉さんが名前で呼んで勉強を見てくれたら、憧れますよね。アットホームだけれども、小さな社会のようでした」

ーーエプソムカレッジに入ったあと、双子のお子さんに変化はありましたか?

「個性をそのまま生かして伸ばしてもらっている感じがしますね。その子が本来もつ良さが生きて、のびのびと過ごしていますね」

ーー今では、リエゾン・オフィサーとしての仕事のほかに、カーハウスという男子寮に住み込んで、アシスタントとして生徒たちに密着した生活をしています。一般的に、エプソムカレッジに入ってからお子さんに見られる変化というのはあるのでしょうか。

「個性をそのまま伸ばすので、『その子らしく』なっていきます。私も彼らの日本での様子を知っているわけではないのですが、おそらくいい意味でゆるい感じになると思います。キチンと四角い感じの子も、ここに入ってからは立ち居振る舞いがカジュアルになりますね」

カーハウスに住み、生徒たちの日常を支えている高宮雅子さん

高宮さんは男子寮のひとつ、カーハウスに住み、生徒たちの日常を支えています。

ーーエプソムカレッジに合わないな、というお子さんはいますか。

「例えば、引っ込み思案でひとりでいたいようなお子さんは最初は戸惑うかもしれませんが、エプソムでは苦手を克服させる、ということをします。人間関係も固定しないように、寮では部屋をときどきシャッフルし、いろんな子と付き合うようにします。生徒たちの希望通りにはならないのです。すると、自然にこだわらなくなり、同じ人たちと固まらなくなって行くみたいですよ」

ーー日本人が日本人だけで固まることはありませんか。

「もちろん、日本人同士で付き合うことも大事です。ただ、環境の力が強いので、国籍のバリアがだんだんなくなっていきます。学校側は寮の部屋を違う国籍の人と混ぜたり、週末の外出のグループを決めたりと、常に人を混ぜるように意図しています。

このように大人が環境を工夫するとともに、英語の学力がつくにつれて生徒たちも日本人同士でいることへのこだわりがなくなって自然に固まらなくなっていきます。子どもってたくましいです」

ーーいじめはないのでしょうか。

「『いじめ』という大きな問題にはならなくても、大なり小なり何らかの摩擦はあるかもしれませんね。エプソムでも人間関係のトラブルが起きることがあります。以前、寮でこうしたトラブル事例を集め、実際にあったことをシナリオにして、ロールプレイで生徒たちに再現してもらったことがあります。

役割を別の人が演じて追体験しました。このことから考えさせられたことは多かったと思いますよ。実際には、演技力がすごすぎでみんな爆笑しながらでしたが、楽しみながらもいい学びになったと思います。経験しないとわからないことは多いですからね」

エプソムカレッジ・マレーシアの個性を伸ばす環境

「エプソムカレッジの魅力の1つは、少人数制で先生方の目が行き届き、かつ生徒たち一人ひとりが個性を伸ばせる環境であることでしょう」と、高宮さん。

ーーエプソムカレッジの毎日は忙しいですが、生徒の心のケアについてはどうしていますか。

「確かに毎日忙しいですが、それなりに休みも多いので、ストレスを抱えている生徒は少ないです。また、私たちもカウンセラーからトレーニングを受けており、心の問題については学んでいます。

サイバーブリングなどについてもよく話題になりますよ。以前、ローガン・ポールというYoutuberが青木ヶ原樹海で撮ったYoutubeについては、大きな議論となりました。

また、アシスタントハウスミストレスという仕事柄、寮とドアを一枚隔てて自宅があり、ほぼ生徒たちと一緒に住んでいるような環境です。ホームシックになった場合にも、同じ言葉で相談できる大人が身近にいるという意味で、精神的なサポートも提供できますね」

ーー保護者からの心配事はどんなことが多いのでしょうか。

「進路についてがいちばん多いですね。エプソムはイギリス式ですが、英国、オーストラリア、カナダ、米国と選択肢も多く複雑です。試験を受けてどのように進学するのか。大学に進学するのにどの教科でどの程度の成績が必要なのか。高学年の生徒とは個別相談の時間をきめ細かくもっています。

先日は日本人の保護者様に限定した各国(英、米、加、豪)大学進学のシステムと準備についてのワークショップを、当校の進路相談の先生と開催しました。私は日本語訳の立場で出席させていただきましたが、参考になったとご好評をいただきました」

ーーお子さんたちの中で英語力が伸びずに困っている方はいますか。

「入った当初は英語が難しいと感じるお子さんも多いようです。以前も日本で中学受験を目指していて最初苦労していたお子さんがいましたが、今では授業についていけるようになりました。

学校側も、新入生を助けるためのバディというヘルパーをつけてくれたりしますし、どうしても無理なら同じ学年を繰り返すこともできます。大前提として、英語と勉強しに来たのですから、日本語で必要以上に介入しないようにしています。みんな頑張っていますよ」

エプソムカレッジの日本人リエゾン・オフィサー高宮雅子さん

自身がエプソムカレッジに通う子どもの保護者であることもあり、生徒たちに向ける目線はとても暖か。先生たちはもちろん、日本人保護者からも絶大な信頼を寄せられています。

ーーどうもありがとうございました。



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