マレーシアの別のインター校からエプソムへ。活躍の場を見つけた転校生が手に入れたもの

取材・文/遠藤チサト(マレーシア在住ライター)

Year10の高橋ヒロシくん(仮名)は、現在15歳。2017年9月にジョホール州の某インターナショナルスクールから、クアラルンプール郊外のエプソムカレッジ・マレーシアに転校してきました。

「マレーシアは好きだけど、以前の学校はあらゆる面で自分には合わなかった」と話すヒロシくん。転校先を探してエプソムを見学に訪れ、ひと目惚れしたそうです。

一見、物静かで落ち着いた雰囲気を漂わせながらも、その瞳は確かな自分への信頼できらめいています。「エプソムは、自分が変わることができる学校」と、言い切るヒロシくんに、エプソムでの日常やその魅力について聞きました。

高橋ヒロシくん(仮名)

元々はとてもおとなしい性格で極端な人見知りだったという高橋ヒロシくん(仮名)。友達がたくさんでき、好きなことにとことん打ち込めるエプソムでの毎日は、楽しくてたまらないそう。

ーーすでにマレーシアのインターナショナルスクールに通っていたのに(しかも、かなり学費が高い学校ですよね)、エプソムを選んだ理由は何ですか?

「母と一緒にクアラルンプール周辺の学校を調べていて、たまたまエプソムの存在を知りました。学校案内のパンフレットを読んでとても良さそうだなと思って見学に来たのですが、ひと目見てとても感激して……。授業の質の高さに驚いたのですが、なかでも衝撃を受けたのはアートのクラスでした。とてもレベルが高かったし、生徒みんながとても熱心に取り組んでいる姿勢にも驚きました」

他の学校も見学していくつもの選択肢があったなか、迷わずエプソムに受験を決めたそう。合格通知をもらったときは本当にうれしくて「すぐにでも行きたい」と思ったのだとか。

ーーそんなエプソムに実際に入学してどうでしたか?

「実は、最初は結構苦戦しました(笑)。まず、友だちの輪に入っていくことが難しかったんです。僕はスポーツは得意ではないんですが、エプソムではみんなが毎日スポーツをしているので、余計に孤独を感じていました」

エプソムにはさまざまなスポーツアクティビティがあるので、最初は体力的にもきつかったそう。

「でも、少しずつ友だちが増えていったら、スポーツもだんだん楽しくなってきて」

今ではたくさんの友だちに囲まれているヒロシくんのいちばんの仲良しは、シンガポールから来ている留学生。週末は一緒に市内のショッピングモールで映画を観たり、買い物をしたりして過ごしているそうです。

ーーエプソムに来て、自分の中で変わったと思うことはありますか?

「積極的になったって、周りからよく言われるんですけど、自分でも本当にそうだとそう思います。得意ではなかったスポーツも、今では自分から参加するようになりました」

以前なら自分とは意見が異なる相手を前にしたら、それを口にすることはせず、ぐっと溜め込んで相手に合わせることしかできなかった、とヒロシくん。

「でも、今は思っていることを素直に伝えられるようになってきました。少し自分に自信が出てきたんだと思います」

ーー今、夢中になっているもの、がんばっていることはなんですか?

「音楽が好きで、サックスとピアノを練習しています。実は3月にサックスの大会があり、僕の参加する管楽器部門では、5、6人が参加するんです。そのため、授業の合間の休憩時間やランチブレイクを使って練習しています。今年が初めての参加で、結構緊張しています」

エプソムには20室もの防音の音楽練習室があり、音楽好きな生徒たちは、自ら集って積極的に練習をしているそうです。また、ピアノ、サックス、バイオリンなど、希望する生徒には有料で個人レッスンも提供され、本格的に音楽を練習したい生徒たちにもぴったりの環境が整っています。

エプソムカレッジマレーシア ホール

594席の本格シアターを備えるエプソムでは、音楽や演劇などの発表の場がたくさん用意されています。生徒たちは大舞台で自分を表現する喜びを知り、自信を育んでいきます。

ーーエプソムの寮生活はどうですか?

「韓国人のルームメイトがとにかくおもしろくて、毎日とても楽しいです。文化の違いなんて、まったく気にすることもなく仲良くしています。入学したての頃は、ルームメイトとも何を話していいかわからず、ひとりの時間が多かったけれど、今は24時間英語で考え、英語で話しています。前の学校では思うように英語が伸びなかったけれど、最近は自分でも英語力がついてきたことを実感しています」

育ち盛りのヒロシくん、学校のごはんもモリモリ食べているそう。

「エプソムの食事は前から好きだったのですが、最近メニューが新しくなって今までよりも種類が増えたので、もっと食べています!」

寮では週3回ランドリーサービスがあり、出した洗濯物は畳まれて戻ってくるものの、くしゃくしゃになっていることもあるので、自分でシャツをアイロンがけし直しているそう。部屋が散らかっていないか時々抜き打ちチェックもあるので、整理整頓を心がけたり、ベッドをきれいにしたりと、自分で快適な寮生活を送ろうと工夫しているのだとか。

ーーエプソムの授業はどうですか?

「どの教科の先生もレベルが非常に高く、質の高い授業を受けられることに満足しています。ただし、授業と授業の休みが5分しかないので、移動がとても大変です! 広い校内をいつも走っているので、体力は否応なしに付きますね」

ヒロシくんの好きな科目は、ジオグラフィーとデザインテクノロジー。数学も得意科目なのだとか。

「DT(デザインテクノロジー)では、パソコンを使って3Dでデザインし、レーザーカッターなどを使って一から作っていくので、とてもおもしろいんです。日本ではあまり経験ができないクラスだと思います。去年はランプを作り、今年はiPod用のドッキングステーションに挑戦しているところです」

高橋ヒロシくん(仮名)

友情、音楽、質の高い学び、体力……転校先のエプソムでヒロシくんが手に入れたものは、かけがえのないものばかりのよう。

ーー今後の目標は?

「来年、Year 11の最後にIGCSE(イギリス式の義務教育終了資格試験)という大切な試験があるのでそれに向けて勉強しないと……。とはいえ、たくさん遊んで、いろいろな経験もしたいです。大学では経済学に進みたいと思っています。もちろん今も経済学のクラスを取っています」

インタビューの後、中庭で写真撮影をしている間も、遠くから“Hiroshi! Hiroshi!!”というかけ声が何度も聞こえ、たくさんの友だちに囲まれて楽しく学校生活を送っている様子が伺えました。