美味しいジョホールバル♥
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2021/07/08

マレーシアの音楽のルーツを辿る!WVCジャズアンサンブル インタビュー

マレーシアは、終わりが見えないロックダウン継続中。

家で過ごし人に会わない生活になってから、2か月経ちました。

かつてないほどのゆったりとした時間の流れの中、どのようにお過ごしですか?

音楽を聴いて過ごす時間も以前より増えているのではないでしょうか。

オンラインで音楽が聴けるようになった今、気分に合わせてお気に入りの曲を聴くことも、世界中の新しい音に出会うこともできますね。

音楽の持つ力は、わたしたちの気分に変化をもたらし、モチベーションが上がったり、癒されたりして生活が変わったりすることがあります。

マレーシアにもたくさんの素晴らしいアーティストがいます。

多国籍民族の国らしく、音楽性もジャンルも多様性豊か。

その中で、今回は、マレーシアらしい音楽をお伝えできたらと思います。

昔のマレーシアの名曲をジャズにアレンジしたCDアルバムをリリースしたばかりの、WVCマレーシアジャズアンサンブルのTay Cher Siang(テイ・チャーシァン)氏にお話しを伺いました。

普段、食の仕事をし、レストランやホテルや旅行などを中心に記事を書いている私は、音楽についてはシロウトですが、今回これを書いているのは、ぜひみなさんに伝えたいと思うから。

彼は本当に素晴らしいミュージシャンなのです。

短い言葉であらわすとしたら、「マレーシアの音楽界において、間違いなく宝のうちの1人」です。

ジャズピアニスト、作曲家、文筆家、読書家のTay Char Sian氏。

アメリカの大学でジャズを学んだ後、マレーシアでフリーの音楽家として活動しています。

ジャズというジャンルは絶対今後も王道にはならないでしょう。

ですが彼はマレーシアの音楽の素晴らしさを追求し、人々に伝え、後世にのこるカルチャーを生み出しています。

彼の活動は、WVCマレーシアンジャズアンサンブルのバンドにて、定期的にコンサートを開催するだけでなく、世界で音楽ツアーをしたり、学校で子供に音楽の素晴らしさを教えたり、ミュージックフェスティバルを主催したり、ラジオ番組でジャズを語る他、TEDやハリウッド映画「Crazy Rich Asians」にも出演。

活動の枠は広がり続けています。

約3年前の2018年に、ジョホールバルのプテリパシフィックホテルで行われたジャズフェスティバルで彼らの音楽を聴いてその素晴らしさに衝撃を受けました。

その時のテーマが、ちょうど今回リリースされたCDアルバムに収録されている、マレーシアの古き良き音楽のジャズアレンジでした。

その後、彼の作品で、シェイクスピアの詩や物語に曲をつけたものや、村上春樹の小説を題材にした曲に出会い、その多彩でアカデミックな才能と美しい音楽に圧倒され、完全にファンになりました。

彼のオリジナルのコンテンポラリージャズの楽曲の特徴は、大まかにいうと、聴くだけで情景を思い起こさせる、ということでしょうか。

その音の世界の中に没頭できる音楽、ということでしょうか。

そして、このたび、新しいミュージックアルバムがリリースされました。

アルバムのタイトルは「PURNAMA」。

マレー語で「満月」という意味です。

1930年代から70年代の、ポップスやフォークソング、映画のテーマ、愛国心のある曲など。

これらのマレーシアの古き良き時代を代表する12曲がジャズにアレンジされています。

おそらく、これらのジャズアレンジのアルバムは世界初でしょう。

また、マレーシアの多くのミュージシャンもこの作品作りに参加しています。

WVCマレーシアンジャズアンサンブルのニューアルバム「PURNAMA」について、Tay Char Sian氏にインタビューしました。

―なぜ今年、このようなテーマのCDを発売したのでしょうか?

WVCジャズアンサンブル(以下、WVC)の前作『Give Thy Ear』から3年が経ちました。

ニューアルバムのリリースについては、しばらく前から構想が練られていて、2020年にリリースされる予定でした。

私の世代のマレーシア人は、「Wawasan 2020」(ビジョン2020)という、世界第一位の経済大国になるという希望(あるいは期待)を頭に叩き込んで育ちました。

しかし、皮肉なことに、2020年はマレーシアだけでなく世界中で、想像を絶する規模の悪夢となってしまい、計画はすべて保留にしなければなりませんでした。

そのため、リリースは今年2021年に延期されました。

―なぜ、昔のマレーシアの楽曲をアレンジしたアルバムを作ろうと思ったのでしょうか。経緯や思いを教えていただけますか?

今回のアルバム『Purnama』では、私たち自身の音楽の歴史を調べて、馴染みのある、あるいは馴染みのないマラヤやマレーシアの曲を再構築したバージョンを作っています。

かつて私は、ジョン・コルトレーン、マイルス・デイビス、ビル・エヴァンス、あるいはビートルズ、ビョーク、レディオヘッドについて、マレーシア独自の音楽やその最も重要なミュージシャンについて知っているよりもずっと多くのことを知っていました。

ですが、自分たちの伝統的な音楽についてあまり知らなかったんです。

2016年頃から、私は自分たちの音楽(=マレーシア独自の音楽)の継承について自分自身を教育するために、発見の旅に出ました。

翌年、WVCがクアラルンプールのDamansara Performing Arts Centreで開催した「Seketika Sebelum Merdeka(Just Before Independence)」では、この出会いの成果の一部が披露されました。

このコンサートでは、ムルデカ以前のマラヤの名曲がWVCのテイストで再構成され、Eddin Khooの語り口で物語や逸話、歴史が語られました。

これがきっかけとなって、私は非常に豊かな音楽の遺産を本当に探求するようになったのです。

また、これは悟りの旅でもありました。

懐かしい曲を聴きながら、このtanah tumpah darahku(私の血が流れる土地)で生まれた音楽に戻るには、何年も何マイルもかかりました。

新鮮な耳と目で、私はマレーシアのために生き、マレーシアを築いた女性や男性、新しい国の誕生の前後で文化的領域に命を吹き込んだ人々について学び始めました。言葉は美しく、感情は希望に満ちていて、メロディーはこの土地の豊かな土壌から育っていました。

しかし、私は「古き良きマラヤ」へのノスタルジックな幻想に囚われたくはないし、一種の歴史的健忘症に陥りたくもありません。

実際、ムルデカ前後の時代は、紛争にも見舞われました。

現在、私たちが直面している問題の多くは、不屈の精神を持ち、一見すると不動のもののように見えますが、この時代に生まれたものであり、自分たちの狭い意図を持った人々に操られ、誤った考えや利己主義、誤解を売り物にしていました。

人は「自分の影を消すことができる以上に、自分の歴史から逃れることはできない」と、ザディ・スミスは賢明にも私たちに思い出させてくれます。

ですが、紛争やつらい歴史にもかかわらず、この時代は純粋な希望の時代でもありました。

人々は、より良い方法を模索し、誠実に生きようとしたのです。

彼らは一日一日を生き、今の私たちにつながる道を作ったのです。

―好きな12曲をセレクトし、アレンジをして収録していると思いますが、その中でも最も思い入れのある曲は何ですか?その理由は?

意外かもしれませんが、1970年代のボリウッド映画「ボビー」のテーマ曲です。

「Main Shayar to Nahin」は、今回のセレクションの中でも特にお気に入りの曲です。

曾祖母と一緒に午後遅くにボリウッド映画を見た思い出は、何物にも代えがたいものです。

当時80代だった曾祖母は、母語以外の言語を理解していませんでしたが、ボリウッド映画をとても楽しみ、夕食前の眠い時間に、音量を最大にしてテレビを見ながら、誰が悪人で誰が善人かを教えてくれました。

高音のストリングスの豊かな響き、執拗なパーカッション、甘いボーカルは、私の音楽意識に忘れがたい痕跡を残しました。

―どの曲が一番好きですか?

アルバムのタイトルにもなった、「Purnama」を気に入っています。

Purnamaの原曲は、Nona Asiahが歌った1940年代の曲です。

この曲は、満月の下で若者たちが楽しんだり、パーティーをしたり、踊ったりすることを歌っています。

私はこの曲を使って、私たちの人生について考えました。

私たちはどのように瞬間を生きているのか、月は時代を超えた観察者であり、人間の戦争、愛、生と死を観察しているのか。

私はこの曲と、ポール・ブルジェの詩に合わせたクロード・ドビュッシーの「Beau Soir」を組み合わせています。

ドビュッシーの芸術歌曲「Beau Soir」をNg Chor Guan氏がテルミンで演奏していますが、この曲は生と死をテーマにしています。

―アルバム全体の、「満月」というタイトルに込めた思いを教えていただけますか?

WVCでは、アルバム『Waiting for That Day』(2014年)に収録された「Moon and the City Light」や、『Do Not Go Gently』(2016年)に収録された「Purple Moon」など、月をテーマにしたオリジナル曲を発表してきました。

Purnama 明るい満月、完璧です。人類の文明全体を照らし出します。

月は時間を超越していますが、私たちは月の満ち欠けを利用して時間を計算したり理解したり、変化を示したり、世界の繰り返しのサイクルを象徴したりしています。月は毎晩異なる顔を見せ、無限に満ち欠けを繰り返しながら、光と隠れた闇の異なるバージョンの自分を見せてくれます。

ここで紹介する音楽が、月のように、思いもよらない方法で人々の道を照らし続け、希望を与え、心を解き放つことができることを願っています。

ありがとうございました。

ロックダウン直前にお話しを伺いました!

確かに、私たちも、日本の昔からの伝統の曲よりも、むしろ外国のヒット曲についての方が詳しかったりしますね。

Tay Cher Siang氏の言葉は、自分につながるルーツを作ってくれた、人々の日々を生きるエネルギーから、学び、発見することは大切なことだと、思い出させてくれます。

アルバムを聴きましたが、軽快なリズミカルな曲から、幻想的な曲まで、さまざまなトーンの曲がまんべんなく入っていて、聴きやすいです。

昔のオリジナル曲をYoutubeで探して、聴き比べすることも楽しいです。

私も、アルバムのタイトルにもなっているPurnamaの曲に圧倒されました。

ドビュッシーとテルミンと歌い手のコンビネーションがコンテンポラリージャズになっていて、すごい曲なのですが、文章だと伝わりづらいですよね。

ぜひ聴いてみてください。

これからもWVCマレーシアンジャズアンサンブルを応援したいと思います。

WVCマレーシアンジャズアンサンブル

https://www.wvcjazz.com/

「PURNAMA」視聴ページ

https://www.wvcjazz.com/music

CDアルバムをオーダーすると、マレーシア国内であれば郵送してくれます。

アルバムを購入すると、ダウンロードも可能です。

また、下記サイトからダウンロード版のみを購入することも可能です。

https://wvcjazz.bandcamp.com/album/purnama-sampler-clips

JBよしこ
text by JBよしこ

JBよしこ こと 土屋芳子
東京にてフードコンサルティング会社「ブレインズ・アンド・トラスト株式会社」を経営して17年。2014年からジョホールバルに母子で移り住み、会社「B&T DIVERSITY SDN. BHD」を設立。現在は現地ネットワークを構築しつつ、ハラルマーケティングリサーチ(アンケート、サンプルテスト、座談会、商品開発など)、企業視察コーディネイト、イベント企画、フードコンサルティング、広告宣伝業務を手がける。Facebookページ「マレーシアレビュー」では、1記事あたりの読者は最高24万人。フォロアーのうち75%以上がマレーシア人、16%がシンガポール人。日本の物、事、すばらしさを、マレーシアの人々にPRするお手伝いができます。 ジョホールバルのメディア組織「JOCOM」会員。ロータリ―クラブジョホールバル支部にて講演実績あり。
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