海外で英語教育を受けながら、本物の日本語力を身につけるために

「子どもがインターナショナルスクールに入っても、日本語は○○式とか塾に通わせれば大丈夫ですよね?」

なぜかここひと月ほどの間に、そんなふうにおっしゃる親御さんたちに立て続けにお会いしたんです。
確かにKではじまる○○式とか日本式の塾は、ここクアラルンプールでも人気なようです。
なかには「先生が厳しいから、日本式の礼儀が身に付くと思って」とおっしゃる親御さんも……。
 

ええっと、ちょっと待ってくださいね。
ホントにそうなのか、立ち止まって考えてみましょう!

K式や塾に通えば、ホントに日本語力が伸びるんでしょうか??
ご自身の経験上、どうでしたか?
日本語の読み、書き、話す、どれも得意ですか?
もし得意な場合、それは本当に塾や学校で培われたものですか?
逆に得意でなかったとしたら……お子さんにも同じ道を歩ませるのですか??

あるいは、礼儀とは「厳しさ」から学ぶものなんでしょうか?
そこで身につけたものは、ひょっとしたら「礼儀」ではなく、「萎縮」だったり「従順さ」だったりする可能性はありませんか??

いえね、K式や塾を完全否定するつもりはないんです。
怖い先生も否定はしません(個人的には、強制されるのは大の苦手だけど!ww)。
かくいうデイジーも小・中学生の頃、K式の英語に通ったことがありますし(国語は経験なし)、算数・数学バリバリやらせる塾に通っていたこともありました。
確かに英単語や文法は覚えられたし、計算も速くなったというメリットはありました。
でも振り返ってみれば、結局それって「試験対策」にしか過ぎなかったなって思うんです。

いや、ときには試験対策も大事だと思うんですよ。
しなくちゃいけないときはある。
でも、受験前でもないのに、年がら年中試験対策的勉強をする必要があるんでしょうか?
それってひょっとすると、「自主性」や「創造性」という大事なものを子どもたちから奪うことにつながってないでしょうか??

だって、子どもの頃、日頃から勉強ばかり真面目にしていた(させられていた)人たち、大人になって毎日を楽しそうにイキイキと生きてます?
大変、大変、申し訳ないんですけど、デイジーにはそうは写りません……。

むしろ「宿題を忘れる常習犯だった」「勉強せずに遊んでばかりいた」「いたずらばっかりしていた」みたいな子だった大人のほうが、のびのびと自由に意欲的に生きている気がします。
何より彼らの笑顔は、子どもみたいに輝いてます。

受験英語で英語の読み書き話すがスラスラできるようにならないのと同じように、日本語能力を高めるのに試験対策的勉強をしてもあまり役に立つとは思えません。
そもそもインターナショナルスクールに通う子どもが、国語の文章問題を解けるようになってどれだけの意味があるのか疑問です。
いずれ日本に本帰国される方には意味があるかもしれませんが……それでも教科としての「国語」が本当の意味で得意になったり、さらに進んで古典がおもしろいと思えるようになるのに、試験対策的勉強が有効とは思えません。
むしろデイジーの経験上は逆効果だったかも!?

文体が美しい、といえば、言語学者の外山滋比古さんの文章も読んでいてうっとりしてしまいます。
言葉の言い回しも美しいんですが、もうね、並んでいる文字そのものが美しいんですよ。
漢字とひらがなの配分がこんなにも美しい文章を書く人は、そういないと思います。

本業が編集者であるデイジー、日本語は専門と言えば専門なんですが、彼らの書いたものを読んでいると、自分がその足元にも及ばないことを痛感します。
痛感しつつも、思わず吸い込まれ、気がつけば夢中で読んでるんですけど(笑)。

「本物の日本語力」って、きっと彼らのように言葉を自在に操れるってことなんでしょう。
凡人にはなかなか到達できるレベルではありません。

でもちょっと待ってよ……。
彼らの日本語を味わい、楽しむことは、実はかなりの人にできるのでは……?
それは大人だけでなく、ひょっとしたら小学生や中学生にも……。
そして楽しむうちに、日本語力がアップしたとしたら、それだって「本物の日本語力」といえるのでは……??

 
誕生〜社会人になるまでが序章だったとすると、デイジーは自分の人生が震災を境に第一フェーズを終え、第二フェーズに入ったことを実感しています。
で、これまでの人生(序章+第一フェーズ)でデイジーが得たものって何だろうって考えてみました。

◎本を読む楽しさ
◎文章を書く楽しさ
◎ものをつくる楽しさ
◎さまざまなクリエイター&アーティストとの出会い

じゃーん!
こんな感じです。
なーんだ、楽しいこと、好きなことばっかり!!(笑)
しかも最初の3つは、「人生の序章」の子ども時代にすでに日常体験していたこと!

すべての学びは、試験勉強のためや、いい学校に入り、いい会社に入るためにするものではありません。
自分の人生を楽しいこと、好きなことでなるべくいっぱいにしながら、それでも起こる苦しい状況を生き延びていく力をつけるために、私たちは日々学んでいる、デイジーはそう思いたい。

でも、日本では楽しいことばかりして暮らそうとする人たちを後ろ指さし、苦労やガマンを美徳とする傾向があるんですよね……。
そういう人こそが、自分でつくった枠にガッツリはまり込んで、日々もがき苦しんでいたりするんですが……。

デイジー的には、そんな人にこそぜひマレーシアに息抜きに来ていただきたいです\(^▽^)/
ここでは、ラクして暮らそうってする人ばっかりですよ!!(笑)
人生それでもいいんだって思えるマレーシアって、ああ、なんてラクチン!

 
最後に、マレーシアにこれから移住したいと考えている、あるいはもうすでにここで暮らしているすべての親御さんにお伝えしたいことがあります。

マレーシアのインターナショナルスクールが、日本の学校よりすべてにおいて優れているかといえば、それは「ノー」です。
もしもそんなイメージを抱いているとすれば、それはメディアが勝手につくった幻想を見ているだけです。

マレーシアでは、学校はよくも悪くも「教科を教える」以上のことはしてくれません。
何を学び、吸収するかは、基本的には本人とその親次第。
(勉強についていけなかったら、ドライに留年したり学年を落としたりします)

日本で一部のすばらしい先生たちが行っているような、子どもたちの人間性や創造性を高めるような教育はほとんど期待できません。
(もちろん、人間的に魅力的な先生はいます!)

学校で足りないところを補うために、塾や家庭教師やその他の習い事を利用するのは大いにありだと思うし、実際に必要でしょう。
でも、すべてを人まかせにしてしまうのではなく、「子どもたちが将来大人になって生きていくうえで必要なことは、親が教える」と、親御さん自身が腹をくくる必要があるように思います。
ちょうど野生動物がわが子に狩りの仕方を教えるように、ね。