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ジュンちゃんとアメリカとトランプ大統領

「今、もっとも会いたい人は誰?」
と、尋ねられたら……遠くアメリカで暮らす盟友、ジュンコ・グッドイヤーに会いたい、そう答えるだろうな。

ジュンちゃんだったら、こういうときどうするだろう。
ジュンちゃんだったら、なんて言うだろう。

思いがけずマレーシアという外国で暮らすようになって、この地で新しい事業なぞもはじめて、そう思うことが何度もある。

ジュンちゃんとは、かれこれ15年くらいの付き合い。
驚くほど共通点が多かったせいもあって、出会ってすぐに意気投合した。

まず生まれ年が一緒。
ちょっと距離はあるけれど、生まれ育ったのは同じ神奈川県。
弟とふたりきょうだいなのも一緒(ジュンちゃんの弟は、2011年に35歳の若さで急逝してしまった。人懐こい笑顔の素敵な青年で、最後に偶然会ったとき、人ごみのなかから私を見つけて、遠くから大きな声で名前を呼んでくれたのが忘れられない……)。

出身大学も一緒だし(大学時代はお互い知らなかった)、20代で起業したのも一緒(ただし、ジュンちゃんのほうがはるかに事業規模は大きかった)。
仕事も一緒にしたし、食いしん坊も共通。
ごはんもよく一緒に食べた。
評判のいい占い師がいると聞けば、占い好きのジュンちゃんに手を引っ張られ、飲んだ勢いでタクシーに飛び乗ったりもした。

ジュンちゃんとは、10年以上前にカナダのトロント&モントリオールにも行った。
寒かったけど、美しい街モントリオールでは、ジュンちゃんの友人アーティストのとても素敵なおうちに泊めてもらって、同じベッドに何泊も一緒に寝たっけ。

あの頃は、お互いどんな仕事をしていて、どんな相手に恋をしているかまで知っていた(笑)。
話題の『東京タラレバ娘』を地で行くようなシーンもあったなあ(とてもじゃないが、書けないけど!!)。
30代前半、最高に楽しかった独身時代を過ごした同志だ。

共通点が多いのは、40代になった今も同じ。
お互い恐らく思いもかけなかった相手と結婚をして、子どもをふたりずつ。

その子どもたちは、上も下も同い年だ。
違うのは、わが家が息子ふたりであるのに対して、ジュンちゃんちは娘ふたりであるということ。
そして、今、私たちはどちらも場所は違えど、海外に暮らしている。

……とまあ、共通点ばかり挙げてしまったけれど、もちろん違うところもいっぱいある。
ジュンちゃんは大胆で類まれな行動力のもち主だけれど、私よりずっとずっと繊細だ。

それは壊れやすいという意味ではなくて、なんというか、行き届いている感じ。
なのに、ものごとを冷静に俯瞰してみる力を備えた人で、恐ろしく頭の回転が速い。

とにかく、ジュンちゃんが男だったら、私は間違いなく惚れていたと思う。
ある意味、一生付き合っていく運命のひとだったのは、間違いない(笑)。

***

そのジュンちゃんが、先月本を出した。
日本にいなくてすぐに本を手に取れない私のために、ジュンちゃんが校了原稿を送ってくれた。

本のタイトルは、『アメリカで感じる静かな「パープル革命」の進行とトランプ大統領誕生の理由』(ジュンコ・グッドイヤー著、シャスタインターナショナル刊)。

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学者でもジャーナリストでもないジュンちゃんが、なぜトランプ本を??
本を出すと知ったとき、そんな疑問が頭をよぎったけれど、これは単なるトランプ本じゃない。
ジュンコ・グッドイヤーにしか書けない、彼女が自分の目で見て、自分の言葉で綴ったアメリカを描いた本だ。

日本人からすると、眩しいアメリカ。
でも、本当の姿は……疲弊し、希望を失ったアメリカの現実がそこにあった。

ジュンちゃんのフィルターを通して見たアメリカではあるけれど、それにちゃんと裏付けを与えているのが、いかにもジュンちゃんらしい仕事。
ところどころにジュンコ節も見られて、ジュンちゃんをよく知っている人が読んだら、思わずくすりとするだろうな。

なんとありがたいことに、東洋経済オンラインで序章部分が無料で公開されている。
「トランプに投票の元日本人が見た米国の変化『約束された明日』はなくなった」

関連記事も連載されていて、ジュンコ・グッドイヤーの視点で、アメリカの今とトランプ大統領誕生の背景を知ることができる。
興味のある方はぜひ。

リベラルとか保守とか、右とか左とか、主義や主張が違うからと言って、争っている場合ではない。
もっと大きな視野を持たなければ。

ジュンちゃんは、本の中で繰り返す。
リベラルの思想自体はすばらしいけれど、行き過ぎたリベラルには警鐘を鳴らす。

私がいちばん感じたのは、アメリカはものすごく成熟した社会であるということ。
成熟しきっているからこその問題をたくさん抱えていて、両天秤にかけたときに、人々が(マスコミが言うのとは違って、プアホワイトではない普通の人たちが)トランプさんに投票したのが、今回の大統領選だったという。

アメリカと比べて、マレーシアはどうだろう。
日本はどうだろう。
アジアは全然成熟してないな……。

アジア人は白人などと比べるとネオテニー(幼形成熟)であるという説があるけれど、元来、私たちは成熟しない民族なのかもしれない。
特に日本では今、赤ちゃんや妊婦さんにやさしくない国であるとか、若い人が簡単にカラダを売ってしまう国であるとかが、やたらと話題になってるようだ。
そんなの、本当はありえないよね……。

マレーシアを含むアジアは、経済はどこまでも伸びていくことをよしとして、多くの人が私欲のかたまりだし、お金はいつだって重大問題だし……私自身、サスティナブルでエコロジーな生活に憧れつつも、日々もがいてあがいて暮らしている。
もちろん、ジュンちゃんの本を読むと、アメリカ万歳なんてとてもじゃないが言えない状況が手に取るようにわかるのだけれど、それでも「変革」の兆しはあるのだ。

日本にいたころは、バリバリと音を立てて仕事をしていたジュンちゃん。
……っていうか、その速さと判断力とネゴシエーターとしての実力はホントにすごくて、私は男性でもそのように働く人をめったに知らない。

ところが、結婚してアメリカに渡り、アメリカに帰化したジュンちゃんは、近年そのスピードを落とし、ゆっくりとした歩みで暮らしていることが、そのブログ”「半径5メートル以内の幸せ」を丁寧に生きる”をテーマにした「Go Tiny!」から伝わってきていた。

「正直、一日中庭仕事してるジュンちゃんとか、以前のジュンちゃんからは想像つかないよ!!」と、思っていたんだけど、ジュンちゃんのライフスタイルがどうして激変したのか、本を読んだら至極納得がいった。

***

先日、原稿を送ってくれたジュンちゃんにお礼のメッセージを送った。
簡単な感想も添えて。
そしたら、早朝のアメリカからジュンちゃんが応えてくれて、久しぶりに少しチャットをした。

「本を書くのが決まったのはいつ? 大統領選のあとでしょ?」
そう尋ねると、11月末にオファーを受け、わずかひと月で書き上げたという。

なんたる速さ。
単行本を一冊書き上げるというのが、どういう作業なのか知ってる私に言わせると、相当速い。
っていうか、私には絶対ムリ!!!

アメリカは今、すごい過渡期にあるらしい。
相変わらずマスコミがトランプ大統領を叩く一方で、彼の出現によって、アメリカ経済はよくなるだろうと予測する人たちもいる。

私はこの目で「アメリカの今」を見ていないからわからない。
でも、人々の行き着く先が、願わくば明るい未来であってほしいと願っている。
それは、世界の成熟社会の先駆けであるアメリカのたどる道は、日本やアジアの未来を占うことにもなるからだ。
ジュンコ・グッドイヤーの視点は、友人として、一読者として、今後も大いに期待して見守りたいと思う。

チャットの最後にくれたメッセージが、最高にジュンちゃんらしくて笑えた。

もう誰かのエゴとか、満足とかを満たすために、ありえないやろうの靴を舐める生活はしない!(爆)

私は、まだしばらくもがきつづけるよ、ジュンちゃん。
でも、いつか必ず追いつくよ!

誰にも媚びず、Tinyで、自分らしい日々を生きていく。
そして、一日の終わりは、必ず夕日を眺めて暮らすんだ。

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