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エプソムカレッジの教師ふたりに聞く
はげまし合う文化と失敗を恐れず挑戦できる環境

取材・文/野本響子(マレーシア在住ジャーナリスト)

エプソムカレッジが、ほかの学校と大きく異なるのは2点。ひとつは「勉強だけ」「スポーツだけ」「芸術だけ」の子どもは許さないということ。もうひとつは寮生活を通じて「ソーシャルスキル」を教え、人格的にも優れた人間を育成する「全人教育」をしていることです。それでも生徒たちのインタビューを聞く限り「もう日本の学校には戻れない」「ここに来て性格が変わった」という声が多いのです。 果たしてどうやって居心地の良い環境を作っているのか、寮を管理する先生たちに聞いてみました。

大人の目があり自己管理を教える寮生活

「ハウスは大きな家みたいなもの。ここには寮生だけでなく、通学生も所属します。私は夫婦で生徒たちと一緒に生活していますが、その他にチューターを呼ばれる先生たちも一緒になって子どもたちの面倒を見ているので、大人の目がたくさんあります。特に寮に入ったばかりのYear6と7の生徒たちは最上階に部屋を設け、ひとりの教師が同じフロアに常駐してさらに手厚くしています」

フランス語を教える傍ら男子寮で70人の生徒たちを見るハニーク先生は多くの先生方と一緒に寮の生徒たちを細やかに見ます。穏やかな語り口が印象的でした

寮の内部を見せてもらうと、居心地の良い部屋に加えて、寮生が集まるための大小さまざまな部屋が目に入ります。ビリヤードや囲碁などのゲームのあるゲーム室、音楽室、宿題のための部屋、共同キッチンなどが贅沢に配置され、子どもたちはそこで集団生活と、仲間と関わることを学ぶそうです。
寮では自己管理を重要視しており、部屋が片付いていない子は、ランチタイムに片付けるように個別に指示されます。

「生活面のしつけにあたっては、親とのコミュニケーションが非常に大事ですね。現在、この寮には8人の日本人生徒がおり、各国の子どもたちと暮らしています」と、ハニーク先生。

寮にはゲームをする部屋も用意されており、ビリヤードや囲碁、トランプなどで一緒に遊ぶことができるよう工夫されています

「勉強だけ」ではなくスポーツも、音楽も、美術も

エプソムカレッジでは、授業とクラブ活動を両立することで、将来、社会人として行動・人格面ともに望ましい人物に育つと考えているといいます。

「生徒たちの多くが、1日に2つのクラブ活動を義務付けられます。ラグビーやホッケー、クリケット、ロボティクス、音楽、ミュージカル、演劇、ケーキのデコレーションまで、学校ではありとあらゆる機会を提供します」

ホッケーが得意な子が、同じ週に水泳をしてバイオリンを弾き、料理もします。 運動や音楽が嫌いな子もいるのではないでしょうか?

「アカデミックな進歩も大事ですが、私たちは体を動かすこと自体が学業を助けると考えています。エプソムにはお互い励まし合う文化があるので、運動嫌いな子でも楽しく続けられるのです。同時に、音楽会や演劇でも全員がステージに上がらなくてはいけません。何にでもチャレンジしてみることが大事です」

本格的なアトリウムを完備し、ミュージカルの上演やオーケストラの演奏会までさまざまな催しが行われます

女子寮で52人の生徒の面倒を見るケリー先生は、「生徒たちには間違いを恐れないことを特に教えます」と話します。「現在のイギリスで主流となっている教育では、学業面だけではなくすべての面で一人ひとりの個性を引き出します」

ビジネスを教えながら寮に住み込んで生徒たちと生活するケリー先生。マレーシアは英国よりも多様性に富んでいると話します

「ここでは本の虫は許しません」

インタビューしていくと、ここに来て「性格が変わった」と話す生徒たちも少なくありません。シャイな性格の子どもも、ここでは自分を表現するように教えられます。

「エプソムでは、ソーシャルスキルを非常に重視しています。例えば本の後ろに隠れているような子は許しません。もちろん生まれつき静かな子というのもいますよ。でも寮生活をするうちに、性格は少しずつ変わっていきます」と、ケリー先生。

前出のハニーク先生も、「全員がドラマとか、音楽、歌などに参加し自分を表現することを学びますから、時間はかかるけれど性格が変わっていきます。日曜の小旅行も強制的に参加させます。ここでの教育の目的は、リビングスキルと社交性を身につけることです」と、話します。 いったいどうやって社会性を身につけるのでしょうか?

「まず、お互いをリスペクトすることを教えます。相手の話を聞き、意見が違う時にどうするかを学んでいく。コミュニティで生きて行く力は非常に大事です」

エプソムカレッジの寮の1室。学年が小さいうちは4人部屋、その後2人部屋になり、最終的に試験を控えた生徒たちは一人部屋で生活します

孤立している子がいないか、いつも見つけ出そうとしています

寮生活は、24時間自分が選んだわけでもない仲間たちと一緒に過ごします。ここではいじめは起きないでしょうか?

ケリー先生は、「いじめは今のところは起きていないけれど、もし起きたら非常に重く見ますね。女子寮では、例えばルームメートと意見が合わず、部屋を変えて欲しいと訴える子もいます。そういう時は話し合いで解決します。社会に出た場合も同僚を選ぶことはできないでしょう? それと同じです」と教えてくれました。

では誰かが孤立することはないのでしょうか?

「新しい子が来たら必ず歓迎するようにしますね。孤立している子がいないかどうか、いつも見つけ出す努力をしています。見つけたら、生徒たちにその子をごはんやゲームに誘うよう頼みます」

ハニーク先生も、「子どもたちは非常に忙しいので、いじめは起こりにくい。もしいじめが起きたら、時間をかけて話し合います。同時に子どもたちの声に耳を傾けることが、非常に大事です」と話しています。

ところで、現在の子供達ときっても切り離せないのがスマートフォンをはじめとするデバイスの問題です。寮生活では、スマートフォンなどの機器をどうコントロールしているのでしょうか?

ケリー先生は、「スマートフォンの使用は非常に頭の痛い問題です」と、苦笑いしました。

「私の寮に住んでいる比較的大きな子たちのデバイスは、取り上げません。しかし最近、毎週水曜日を“デバイス・フリー・ウェンズデー”と呼んでいる「ホットチョコレートを飲みながら、みんなで話す日」にしたところ、今のところは好評ですよ」と、教えてくれました。

マレーシアは英国よりさらに多様性がある

ケリー先生は、マレーシアの独特の多様性と文化が、この学校に良い影響を与えているといいます。

「ここでは中華正月、クリスマスなどを全員で祝うなど、お互いの違いを認め合う文化があります。イギリスにもダイバーシティはあるけれど、ここまで混じってはいないのです。 マレーシアはイギリスよりもリラックスして、ストレスがないですね。人々はフレンドリーでとても寛容です。親たちは協力的で、非常に一緒に仕事のしやすい人たちです。24時間体制で子どもたちを見るのは決してラクな仕事ではありませんが、楽しんでいます」

「エプソムに入ると性格が積極的になる。いつも仲間に囲まれている感じがする」と、子供たちが話す裏には、先生たちの努力があることがよくわかりました。 なかでも、「いつも孤立している子を見つけ出すようにしています」という言葉が印象的でした。